2014.01.28 重要

かまどベンチの加熱安全性実験について

去る2013年12月1日、静岡市羽高公園で実施された防災訓練にて、弊社座面製品(旧来品)を利用した防災用「かまどベンチ」が設置された土間コンクリート部分が破損する事象がありました。弊社ではそれを受けて、ベンチの利用者様、自治体様からのお問い合わせを頂いております。
静岡市羽高公園での当該土間コンクリート部分は、弊社施工ではありませんでしたが、一般に「かまどベンチ」と呼称される製品群の設置・施工床部がコンクリートになることが、類似製品の提供各社でも多くあることを受け、弊社でもより一層の、直火加熱によるコンクリート破損のリスクについて注意喚起するべく、改めて弊社ホームページ上、あるいは製品同梱資料などの自社施策に加えて、業界団体等への発信を続けております。
一方で、問い合わせの中には、床部に限らず、脚部が擬石(コンクリートの一種)の種類について、脚部コンクリートの加熱による影響を懸念されるお客様もおられました。
このようなご懸念を受け、弊社では製品開発時の加熱試験に加えて、改めてより厳しい条件での加熱・耐久試験を行い、通常の防災訓練等における一般的な使い方、頻度の範囲において、特に問題がないことを確認致しました。
お客様におかれましては、加熱を伴う製品利用については、製品説明書や弊社ホームページをご参考頂き、引き続き当該製品のご活用、ご愛顧を頂けるようお願い申し上げます。
1. 実験目的
かまどベンチの燃焼加熱による脚部外観の劣化確認と、強度劣化を確認する
2. 実験方法
【前提】
・製品保証は3年間
・年1回の(防災訓練等の)一般的な煮炊き出しで、10年間で10回利用されることを想定
・安全率(50%)を配慮して15年間利用されることを再現
【実験手順】
・以下の①から④を、計15回繰り返した
① 2時間強い直火で加熱(※一般的な炊出を再現)し、脚部の温度変化を計測した
2014_01_23_01.png2014_01_23_02.png
(図1. 加熱装置概要図、脚部の計測ポイント)
② ①の後、冷却時間を2時間おいて、1日に2度燃焼を行い、繰り返し観察した
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(図2. 加熱中の様子:強力な加熱で煮炊き出しを再現)
③ 加熱後は、コンクリートの表面状態を確認した
④ 確認し、ベンチ座面中央に600kgの静加重実験を実施した
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(図3. 加熱後のベンチ構造強度劣化を確認する加圧試験の様子)
3. 実験結果
【加熱時の到達温度】
・最高到達温度は395.8℃であった
・ただし、300℃を超えたのはこの1回のみで、ほぼ250℃から300℃の間に分布した
・概ね、1時間15分前後に最高温度に達しそれ以降の温度情報はあまり見られなかった
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(図4. 最高温度 395.8℃に到達した実験15日目の温度変化)
【加熱後の脚部表面状態】
真っ黒にすすけてはいるが、割れ・クラックなどの破損は外観上発生しなかった
4. 結論
一般的な煮炊き出しに必要な火力で加熱した場合でも、年1回程度、15年間利用されても大きな破損や強度的劣化は確認されなかった
(※)燃焼部分に可燃材としてガソリンなど弊社が想定しない助燃剤などを利用した強火、あるいは何らかの理由で大きな破損・亀裂などが入った状態で水分などを多く含むものについては、加熱により大きな破損が発生する可能性はあります。弊社では、必要な点検・メンテナンスおよび、また利用時には一般常識的な加熱方法および、熱緩衝用のレンガ設置を推奨しています。

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