大斜面が、みんなの遊び場に!「モーグルヒル」製品ストーリー

「一人で遊ぶ」から、「みんなで遊ぶ」へ。
大きな波打つ斜面を降りたり、駆け上がったり。
子どもたちがみんなで一緒に遊べる遊具「モーグルヒル」
最大の特徴であるコブのある斜面は、単なるデザインではありません。
どこを登り、どこからすべり降りるか。決まった正解がないからこそ、
子どもたちは自然と「遊びのルール」を作り始めます。
私たちが大切にしてきたのは、こうした遊びのプロセスを通じて
社会性を育む「コミュニティ」の遊具。
他の子と遊びのルールを共有したり、譲り合ったり、協力したり。
遊ぶ中で、子どもたちはルールや他の子との接し方を学んでいきます。
しかし、これまでの複合遊具を振り返ってみると、
一つひとつのアイテムは「一人で遊ぶもの」が多いことに気がつきました。
「もっと大人数で、一緒に遊べるアイテムを作りたい」
そこで思い描いたのは、かつての遊び場だった
土手や築山(つきやま)のような、自由に開かれた場所でした。
そして誕生したのが、「モーグルヒル」です。
昔懐かしい「土手遊び」を、現代の公園で楽しめるカタチにするまでには、
たくさんの試行錯誤がありました。
子どもたちが夢中になる秘密はどこにあるのか。
モーグルヒルに込めた想いや、開発で特に苦戦した技術的な裏話について、
開発担当者にお話を聞いてみました。

登る、すべり降りる、隠れる。
子どもたちの好奇心を刺激する遊びをデザインする
ー モーグルヒルのこだわりポイントを教えてください。
北村 |
一番は、斜面の素材に「半透明」を採用したことです。
昔のコンクリート製の築山って、裏側が暗がりになってしまって、外から様子が見えにくいという
安全面の課題もありましたよね。
「モーグルヒル」では、光を通す素材を使うことで、斜面の下にも柔らかな光が差し込む
明るい空間を作りたかったんです。
そうすることで、斜面の上にいる子と下にいる子が、透けて見えるシルエット越しに交流する、
新しい遊びが生まれるんです。
この「半透明で凸凹した斜面」は、私たちのオリジナルデザインなんですよ。
ー 降りて遊ぶだけでなく、「登って遊ぶための工夫」も凝らされているとか。
北村 |
はい、降りて遊ぶ楽しさはもちろんですが、「自力で登りきる達成感」も大切にしたくて。
斜面には足を踏ん張りやすいよう、左右の絶妙な位置に「コブ」を配置しました。
このコブがあることで、まっすぐすべり降りるルートだけでなく、くねくねと蛇行しながら
すべり降りるルートも出来上がります。
それと、登りきった場所の両脇にある半月型のパネル。これ、実はすごく重要なんです。
登りつめた瞬間に体が不安定にならないよう、しっかり掴める場所にしています。
大きさもあるので、転落防止の役割も担っています。
小さな工夫ですが、安心してもう1回!と繰り返し遊びたくなる設計にこだわっています。

ー 斜面の裏側も、なんだかワクワクする空間になっていますね!
北村 |
子どもたちって、狭い場所や隠れられる場所が大好きじゃないですか(笑)。
昔の築山にあった『土管の隠れ家』のようなワクワク感を再現したくて、
斜面裏にはベンチ空間を作りました。
かつての暗い土管とは違って、光が届く明るい空間です。
子どもたちが座っておしゃべりを楽しめる、いわば現代版の『溜まり場』ですね。
秘密基地のようなこの場所から、また新しい遊びが広がってくれたら嬉しいです。
おひさまの光が届く半透明な素材を追及
ー 「半透明で凸凹した斜面」を形にするまでには、現場で大きな技術的ハードルがあったと伺いました。
波多江|
「シルエットで交流する遊び」を実現するには、避けて通れない条件がありました。
それは、光を通すために「半透明」であることと、裏側から触れても安全なように、
斜面の表も裏も「つるつる」であることです。
この2つが満たされていなければ、この製品のコンセプトを実現することは出来ません。
当初はポリカーボネート(※1)を検討しましたが、モーグルヒルの大斜面を作るには
金型費用が高額で現実的ではありませんでした。
そこで、コストを抑えるために我々が得意とするFRP(※2)で作ることに決めました。
(※1)ポリカーボネート
透明性・耐衝撃性に優れたプラスチック素材。
身近なところでは、自動車のヘッドランプ、カメラのレンズなどに使われます。
(※2)FRP(繊維強化プラスチック)
樹脂の中にガラス繊維を混ぜて強度を高めた素材。
身近なところでは、お風呂の浴槽、公園のすべり台などに使われます。
ー ですが、FRPには特有の課題があるとお聞きしました。
波多江|
そうなんです。FRPは成型すると、どうしても片面がガラス繊維の影響でザラついてしまいます。
通常は塗装をして表面を整えますが、それだと一番のこだわりである「透明性」が失われてしまうんです。
コトブキには多様なFRP技術がありますが、今回はこれまでのどの製品の技術にもない
「透明性」と「両面平滑」を同時に満たす必要がありました。
FRPの塗装仕上げ例:ビー・ハニー
ー その矛盾をどうやって解決したんでしょうか?
波多江|
試行錯誤の末にたどり着いたのが、独自の「二枚合わせ構造」です。
これにより、高価なポリカーボネートを使わずに、
従来のFRPと同等のコストで、表裏ともに滑らかな質感を出すことに成功しました。
まさに、コストと品質のせめぎ合いから生まれた独自技術ですね。
ー 部位によっても、細かく仕様を使い分けているとか。
波多江|
上下の端部などは、あえて通常の「FRP一層構造」を採用してコストを抑えています。
ただ、そのままではザラつきが目立ちますから、そこは「濃色」で仕上げることで、
品質感を損なわないよう工夫しました。
「守るべきこだわり」には技術を注ぎ込み、抜けるところは賢く工夫する。
このメリハリが、コストパフォーマンスの両立に繋がっているんです。

子どもたちがつくる遊びの風景
ー これまで全国各地に納入されてきましたが、特に印象に残っている事例はありますか?
北村 |
仕事として関わった大規模な現場も大切ですが、
一番心に残っているのは、自分の息子とよく遊びに行っていた近所の公園なんです。
息子はその遊具のことを、自分なりの言葉で「海のすべり台」って呼んでいて。
自分たちで名前をつけて、滑って逃げたり裏側に隠れたりと、鬼ごっこの舞台にして
自由に遊びを展開していたんです。
その姿を見たときに、「この製品を作ってよかった」と、実感が湧きました。
ー 子どもたちが自分たちで遊びを見つけ、名前をつける。まさに理想の形ですね。
北村 |
そうですね。それと、この「モーグルヒル」のもう一つの強みは、
地形やニーズに合わせて「自由自在に変形できる」ことなんです。
例えば、岩手県大船渡市の「夢海公園」。
ここには横に長く連なった、圧倒的なスケール感の巨大なモーグルヒルを納入しました。
今では公園のシンボルとして、多くの方に親しまれています。

ー 地形を活かした事例もあるそうですね。
北村 |
神奈川県横須賀市の「くりはま花の国(冒険ランド)」です。
あそこは山の斜面という自然の地形が特徴的なのですが、その勾配を活かして、
縦に長く伸びる構成にしました。
設置環境に合わせて、その場所にとって「最適で、一番ワクワクする遊びのカタチ」を
提案できる。大船渡や横須賀の事例を通じて、私自身もモーグルヒルが持つ無限の可能性を
再確認することができました。
半透明の「モーグルヒル」が育むコミュニティ
かつての子どもたちが土手や築山で時間を忘れて遊び、
見知らぬ友だちと繋がったあの感覚。
「モーグルヒル」は、そんな普遍的な遊びの価値を、
現代の技術と情熱でカタチにした遊具です。
「半透明の斜面」が生み出す光の演出と、自由なルートで遊べるデザインは、
子どもたちの創造力を引き出し、公園を単なる遊び場から
「コミュニティが生まれる場所」へと変えていきます。
今日もどこかの街で、子どもたちが自分たちなりの名前をつけ、
新しい遊びを発明している。
その光景こそが、私たちの何よりの原動力です。
これからもコトブキは、自由な「遊びのカタチ」を、
全国の公園に届けていきます。
記事作成:マーケティング本部 志村

