遊具の常識を変える 「PlayCode」製品開発ストーリー

2024年に新しく誕生した「PlayCode」
それは、コトブキにとって"新製品"という言葉だけでは、語りきれない存在です。
目まぐるしく進化する時代の中で、街の風景も少しずつ変わり、
子どもたちの遊び方も変わってきました。
「いまの時代に、本当に必要な遊具って何だろう?」
私たちはその問いを何度も繰り返しました。
「PlayCode」は、迷い、考え、試行錯誤した時間のなかで、少しずつ形を持ちはじめた遊具です。
その誕生に込められた想いを、開発者へのインタビューから紐解いていきます。

公園から離れてしまった子どもたちを、呼び戻すために
上野山|プロジェクトが動き出したのは2021年頃ですね。当時、あらためて向き合ったのが、遊具の安全基準なんです。
遊具の安全基準って、これまで何度も改定されてきてるけど、実際に調べていくと、基準が更新されたからといって
子どもの事故がはっきり減っているかというと、そうでもない。
これはすでに、北米の遊具業界でも指摘されていた話で、特に多かったのが、落下とか挟み込みの事故でしたね。
それを知って、これは「まあ仕方ないよね」で済ませられる話じゃないな、と感じたわけです。
基準はちゃんと守っている。でも、それだけで本当にいいのかな、と。そこが、ずっと引っかかってました。
「なぜ事故が起き続けるのか」疑問から見えてきた遊具と子どもたちのズレ
上野山|詳しく見ていくと、子どもたちが壁をよじ登ったり、こちらが想定していない遊び方をしている場面が結構あるな、
って気づいたんですよ。そこで気づいたのが、従来の、壁とデッキでできた城型の遊具って、
子どもたちの「もっと遊びたい」とか「やってみたい」っていう気持ちに、
ちゃんと応えきれていないんじゃないか、ってことでした。
安全性を高めるために整えられてきた構造ではあるんですけど、その結果、子どもたちの行動や欲求と、
少しずつズレてきている。そのズレこそが事故の背景にあるんじゃないか、と思ったんです。
城型遊具の原風景「ウッドステーション」
(1990年代を中心に全国で親しまれた木製遊具シリーズ)
上野山|同時に、社会全体の変化も強く感じていました。スマートフォンやゲームが身近になって、
子どもたちの遊びは、いつの間にか「外」から「画面の中」へと移ってますよね?
公園で遊ぶ子どもも減っていて、身体を使って思いきり遊ぶ機会って少なくなっているんです。
だから、今の時代に必要なのは、「安全な遊具」を増やすことではなくて、
子どもたちが「挑戦できる遊具」なんじゃないか、と考えました。
子どもたちをもう一度、公園へ呼び戻したい。そのためには、これまでのありきたりな遊具の形から、
一歩踏み出さないといけないんじゃないか、そんな思いで、製品開発は始まりました。
北沢|従来の遊具にありがちなカラフルな装飾で目を引くのではなく、
見た瞬間に直感的に身体を動かしたくなるデザインを目指しました。
なので、見た目をどうするか?というよりも、どう遊ぶか、そのための構造と空間に、かなり向き合いました。
私たちは、遊びに必要なのはフレームではなく、自由に動き回れる空間だと考えています。
PlayCodeには、デッキや階段、壁といった、遊びにつながらない要素がありません。
どこからでもアクセスできて、子ども自身が遊び方を選べるようになっています。

上野山|従来の城型遊具を見直した時、注目したのは、年齢区分の考え方でした。3〜6歳向けと6〜12歳向け。
その違いはほとんどが「高さ」なんです。でも、階段とデッキがあれば、
小さな子どもでも簡単に高い場所へ行けてしまう。それって、本当に安全なのかな、と。
一方で、成長した子どもにとって「ただ高いだけ」の遊具は、本当に楽しいのか、という疑問もありました。
そこでPlayCodeでは、地面から気軽に楽しめる遊びと、挑戦しなければたどり着けない難易度の高い遊びを、
ひとつの構成の中に入れ込むという考え方を取りました。
小さな子どもが無理に高い場所へ行ってしまうリスクを抑えながら、
成長した子どもたちには、挑戦と、達成感を届けたい。それが、PlayCodeの考え方です。

地面からも遊びに参加できるスネイクジャングルミニ
国内で唯一、挑戦が次の遊びへつながる構造*¹
鈴木|もう1つ、大きく違うのは、ロープを上った先でスライダーに繋がる構造です。
挑戦した先に次の遊びが待っている、そんな設計になっています。
ロープにスライダーが繋がる構造を実現できているのは、国内ではコトブキだけだと思います。
海外を見ても、ごく限られたメーカーにしかできないものなんです。
気軽に楽しめる遊びから、本気で挑戦したくなるクライミング、
思わず走り出したくなる動線や、跳ねたくなる仕掛けまで。
PlayCodeには、子どもたちの「やってみたい」を引き出す遊びを詰め込みました。
*¹ 当社調べ

走りたくなる動線が、遊びをつなぐ
鈴木|PlayCodeに欠かせない存在の「こどもハイウェイ」ですね。このアイテムは、単なる通路ではありません。
組み合わせ次第で、起伏のある動線を生み出し、思わず走り出したくなる空間をつくり出します。
ロープだけの遊具だと、動きがどうしてもゆっくりになり、遊びが広がりにくいですが、
こどもハイウェイは、遊びに「スピード」を生み出してくれます。
北沢|似たものとして、デッキや平均台がありますが、これらは「その場に留まる」か、
「慎重に渡る」かの二択になりがちだったと思います。
でも、こどもハイウェイは、走り抜ける動きを許容し、様々な遊びをつないでくれます。
実は、こういう役割をもった遊具って、これまであまりなかったんじゃないかなと思います。

足裏が教えてくれる、安全の境界線
北沢|そこでこだわったのが、「安心しすぎず、危なすぎない」幅と形状です。
スピードを出せる一方で、足元に注意が向かず、踏み外してしまう可能性も考えました。
そういったリスクをできるだけ抑えるために、滑り止めとして突起加工を施しています。
さらに、縁の部分は、足裏で感覚的に認識できる程度に突起の高さをわずかに高く設計することで、
無意識に「ここが端だな」と分かるようにしています。
突起の大きさは、3Dプリンターで何度も試作を重ねました。
点字ブロックをベンチマークに、走っても、立ち止まっても違和感のないサイズを導き出しています。
安全に配慮しながら、遊びの楽しさは削らない。
こどもハイウェイは、PlayCodeが大切にしている「ぜんぶが、遊び」という考え方を、
もっとも象徴するアイテムのひとつなんです。

こどもハイウェイ端部の突起加工
挑戦を成立させる、安全の設計
鈴木|フォレストは、ロープを使ったアイテムですが、
従来のザイルクライミングとは少し違う考え方で、安全性を担保しています。
従来のザイルクライミングでは、開口角度が55°未満の上向きのV時開口部をゴムシートで覆うことで
安全性を確保するケースが多いのですが、PlayCodeでは、そうした後付けの対策に頼らず、
最初から安全な角度で設計しています。
一方で、見た目の角度は、従来のザイルクライミングよりもやや急に設計しています。
これは、高学年の子どもたちにとって「挑戦してみたい」と感じられる印象を持ってもらうためです。
その分、安定して登れるように、ロープの張り方を工夫しています。
身体を預けたときに不安定にならないよう、力のかかり方を想定しながら設計しました。

開口角度の違い(左:従来のザイルクライミング、右:開発中のフォレスト)

見た目の角度の違い(左:従来のザイルクライミング、右:PlayCodeのフォレスト)
鈴木|さらに、ロープの編み方そのものにも工夫があります。
一番上の部分は、外側から登るのではなく、内側から登る動線になるように設計しました。
上に行くほど、遊び方の自由度をあえて少しずつ絞り、動きが安定する構造にしています。
身体の入り方、手足のかけ方、どこで止まり、どこで次の一手を出すのか。
こうした動きを一つひとつシミュレーションしながら、挑戦性と安全性のバランスを探っていきました。
子どもたちの「やってみたい」と思える挑戦を引き出しながら、
その一つひとつが安全につながる構造を目指しています。
「普通の公園」に、次の選択肢を
上野山|1番増えてほしいのは、いわゆる「普通の公園」ですね。
既存の遊具が更新されるタイミングで、その次の選択肢としてPlayCodeが入ってくれたら嬉しいです。
開発の背景には、「高学年の子どもたちが、満足に遊べる場所がない」という課題があります。
だからこそ、特別な大型公園だけじゃなく、家の近くにある身近な公園が少しずつ変わっていく。
そんな広がり方を期待しています。
北沢|PlayCodeのメインターゲットは、高学年の子どもたちです。
学校と家のあいだ。決まった用事がなくても、集まりたくなる放課後の時間帯ってありますよね。
「地域からアクセスしやすく、友だち同士でふらっと立ち寄れる場所」にあってほしいなと思っています。
PlayCodeは、思いきり身体を動かすためだけの遊具、というわけではありません。
フォレストに腰を掛けて、何をするでもなく時間を過ごすことも、PlayCodeにとって大切な「遊び」のひとつです。
走る子がいて、登る子がいて、友達同士で話し込む子がいる。
同じ場所にいながら、それぞれの過ごし方が自然に混ざり合っていく。
高学年の子どもたちにとって、少しだけ自由な「居場所」になるような、
そんな"たまり場"のような存在でありたいです。
また、大きな公園では、複数点在させて設置したり、
ほかの遊具へ動線を促すように「こどもハイウェイ」を配置することで、
PlayCodeならではの独立した構造がより活きてくると思います。
場所に合わせて形を変えながら、公園全体の遊び方を広げていく。
そんな使われ方も今後広がっていけばいいな、と思っています。
遊びは、これからも進化する
コトブキが大切にしているのは、安全と引き換えに、遊びの魅力を削ることではありません。
子どもたちの「遊びたい」という気持ちや挑戦心に応え、"ワクワク"や"おもしろさ"を遊びの中心に据えることです。
PlayCodeは、遊び方を教えません。決められたルートも、正解もないからこそ、
子どもたちは自分で考え、「次はどうする?」「もっと先へ行ってみよう」と、遊びを組み立てていきます。
挑戦の先に、次の遊びが待っている。
できた瞬間の達成感が、また次の一歩を生み、気づけば身体を動かし続けている。そんな循環を生み出す遊具です。
PlayCodeはこれからも、
子どもたちの「やってみたい」を起点に、遊び場の可能性を広げていきます。

記事作成:マーケティング本部 志村

